2015年10月、トレンドマイクロはセキュリティソリューションのリーディングプロパイダである米国のHPE社のセキュリティ事業の一部であるTippingPoint部門の買収を発表。この買収により、トレンドマイクロはこれまでの強みとしていたエンドポイント、データセンター、クラウドをはじめ、ネットワークにまでわたるダイナミックな脅威防御ソリューションのセキュリティプロパイダとしての基礎を構築することとなった。トレンドマイクロの新しい事業の軸ともなる革新的なネットワークディフェンスソリューションをどのように確立していくのか。最前線の現場で、日々奔走するセールスとエンジニアのプロフェッショナル二人に話を聞いてみた。

Profile.

佐竹 信廣セールス 2015年中途入社

前職は同業でもあるセキュリティベンダーにて勤務。新規ビジネスを事業の一つの柱とし、そのための部署を立ち上げるとの話を聞き、参画を決意する。2016年現在は、ネットワークディフェンス営業本部部長を務める。

Profile.

日原 茂セールスエンジニア 2009年中途入社

セキュリティソフトウェアベンダーとして国内における実績やシェア、加えてグローバル企業でありながらも、日本の文化に根ざした風土を形成しているユニークな点に惹かれて入社を決意。入社以来、セキュリティソリューションにおける様々なプロジェクトに参加する。

どのベンダーも実現していない
3領域をカバーする
ネットワークディフェンスソリューション。

---このプロジェクトが立ち上がった背景について。

佐竹
まず脅威が非常に巧妙化してきたことによって、従来のセキュリティでは防ぎきれなくなってきているといった現状がありました。そこで私たちが掲げる「デジタルインフォメーションを安全に交換できる世界の実現」を目指すためにも、新しいネットワークディフェンスソリューションを構築することが必要不可欠だったのです。ではどうやってそのシステムを構築するか。セキュリティの世界は大きく分けて、ネットワーク、クラウドを含むサーバ、そしてエンドポイントといった3つの領域に分かれています。世の中の会社はそのどれかの領域を強みとしていて、3つの領域すべてを備えているセキュリティ会社は存在していません。トレンドマイクロもウイルスバスターに代表されるようにエンドポイントを強みとしていました。しかしいま必要とされるセキュリティは、侵入前、侵入中、侵入後の攻撃を組織全体でシームレスに多層防御すること。そこで高度で捕捉が困難な標的型攻撃に対して、非常に的確で包括的な対策を提供するTippingPointの次世代侵入防止システムを、トレンドマイクロのネットワーク侵害検知システムと融合させ、データセンターやエンドポイントを保護するトレンドマイクロのソリューション強化を目指すことにしたのです。このプロジェクトによって、トレンドマイクロは、ネットワークからエンドポイントまでを守れるセキュリティベンダーへと変化していくことができるようになるのです。
日原
私たちはもともとエンドポイントのアンチウイルス対策を強みとし、2000年以降はサーバセキュリティ市場において世界トップシェアを誇ってきました。しかし一方で、クライアント、サーバという攻撃の最終着地点であるエンドポイントですべての攻撃を防ぐアプローチでは、攻撃の多様化、巧妙化が進む昨今では効率が悪い戦いになってきているという課題が呈されてきました。この状況を打破するためにも、進化した新しいネットワークディフェンスソリューションを構築し、エンドポイント、サーバの前段で広く遍く守るアプローチから、エンドポイント保護まで一気通貫でシングルベンダーが提供することで、お客様の運用負担を最小限に軽減した状態でより効果的なセキュリティ対策のアプローチができると考えています。

COOに選ばれた猛者たちが
売り上げにコミットする
SE & Salesのマンツーマン体制。

---チームの構成について。

佐竹
エンジニアチームは、エンドポイントやサーバセキュリティ、クラウドなど様々な領域のエキスパートを社内から集めて構成しています。反対にセールスは私もそうなのですが、外部から召集してきています。外からの知見と培った技術力を融合させて新しい事業となるネットワークセキュリティを作り出すことを目指していますね。
日原
プロジェクト全体は日本、アメリカ、ヨーロッパ、アジアにまたがっていて、日本だけを見るとセールスとSEがそれぞれ10数名と少数精鋭のチーム構成です。トレンドマイクロとしては珍しく、セールスとSEがマンツーマンになってタッグを組み、日本のトップ企業とされる大手200社のお客様へダイレクトにアプローチしています。マンツーマンという個人の責任が明確になるチーム構成のため、プレッシャーはありますが、一方でそれがいい刺激にもなっています。
佐竹
マンツーマンはもし失敗したら、名指しで呼ばれる緊張感があるよね(笑)。でもそれぐらいシビアにやらないと新規事業はうまくいくはずがないとも思っています。私たちはこの新事業を2年で立ち上げることを目指しています。生半可な覚悟で臨んでいてはできるわけがありません。最大限にパフォーマンスを発揮するためにも、責任を徹底的に持ち、数字を追いかける必要がある。そのミッションにコミットするためにも、いいプレッシャーだと思います。
日原
日本のトップ企業を相手に交渉を進める上で、本気の姿勢を示すにはこの体制はベストな布陣だと思いますね。日々刺激があり、自分のスキルが高まっていることを実感しています。営業だけではなく、SEも数字を追いかけて、お客様のもとへどんどん提案にいきますからね。待っているだけでは何も進まない。自分から仕掛けていく醍醐味があります。
佐竹
私たちの本気度を示す上でもう一つ挙げられるのが、このプロジェクトがCOO直属の組織であること。セールスに関しては彼が直接面接し、採用しています。非常に情熱的な方で、その熱意に感化されて私はプロジェクトに参加したいと思い、入社を決意しましたから。慣習に囚われず、恐れずにさまざまなことにチャレンジしていく。そんな空気がこのチームには流れています。これまでの事業を継続するのではなく、個人が自分のぜんぶを使ってミッションにコミットして、新事業をつくりだしていく。こんな面白い仕事にはそうそう出会えないんじゃないかとさえ思うことがあります。

コンセプトは「シンプル」。
お客様の悩む時間を、
ゼロに近づけるソリューションを。

---目指しているネットワークディフェンスシステムについて。

日原
個人的な想いでもあるのですが、今回のプロジェクトによって、理想としていた世界を実現できるのではないか、と考えています。コンセプトは「シンプル」です。世の中には様々なベンダーの製品があり、それぞれに特筆に値する魅力があります。一方で様々なベンダーの提案が魅力的に見えるため、技術的には対策が重複するような、いわばカニバルようなシステムを導入している企業も少なくありません。そんな状況を見て歯がゆく思うことが何度もありました。だからこそ、私たちのソリューションを導入すれば、すべてが守れる。他に悩む必要がない、というシンプルな世界を実現したいのです。
佐竹
これこそが私たちが目指したいFor The Customerの形だね。提案に行くと、まだまだネットワークディフェンスの必要性を理解してもらっていないと感じることは多いです。そんなときに大事なことは強い意志を持って「これじゃないといけないんだ」と伝えること。それがいちばんの説得力になる。トレンドマイクロのこれまでのサービスに、新しい機能が加わって、どのように変わっていくのか。お客様はすべてを想像できるわけではありません。不安はたくさんある。それでも私たちがいるから安心して新サービスを導入できる。そんな信頼関係をつくっていきたいですね。
日原
セキュリティを第一に日々の仕事に向き合う人は多くはいません。脅威があるから考えないといけない、本来であればその時間は不要となるもの。だったらそのために考える時間を割かずに、その企業の本業に注力してもらいたい。そのためにもシステム一つの導入で、すべての悩みが解決する。そんなソリューションを私は社会に提供したいのです。それがこのプロジェクトなら実現できると信じて、挑戦を続けています。

お客様の全てを守る
存在を目指して。
私たちが世界の常識を変えていく。

---プロジェクトが目指すゴールについて。

佐竹
この事業の最終的なゴールとして目指しているのは、セキュリティ業界の新常識を生み出していくこと。それに尽きます。そのためにも日本のトップ企業に導入をしていただけるかは、非常に重要なポイントとなっています。その実績いかんで、これからのトレンドマイクロの他社優位性は大きく変わってきますから。ここからもっとアクセルを加速させていきます。
日原
良い意味でトレンドマイクロのイメージを壊し、変えたいですね。日本のトップ企業に深く関わり、信頼を得る。一つひとつの積み重ねが結果としてセキュリティ業界の新常識を生み出せるということを言葉でなく行動で示す。
そんなことを、この小さなスタートアップのチーム全員で成し遂げたいと思っています。